介護の現場にぜひアロマテラピーを
一般論、ではなく。
実際に起こった知人の話から、タイトルについて真面目に考えるようになりました。
ちょうど1カ月くらい前のことです。
主人の友達が家に来て、しばらく会っていなかった間(1年強)のことを事細かに話し出しました。
一緒に住んでいらっしゃるお母さんの様子について。
かれこれ4年ほど前から何となく認知症の症状?と思われるようなことは聞いていましたが、ここ数カ月の間にその症状が進んだこと。
本当にこれでもか!というほど、大変なことが次から次へと起こり、自分自身も大変だと。
お母さんは火の取り扱いにも気をつけなければならないので、台所に立たせることもできなくなりました。
最初の頃は、出来合いのものを買ってきて食べていたとのことですが、毎日となると不経済。
今まで料理なんてしたことがない彼が台所に立って3食用意しているそう。
(訳あって、お母さんとのふたり暮らしです)
もともと明るい性格の上に、何につけても必ずと言って良いほど話を面白くさせるところがあるので、話を聞いていても、こちらも思わず笑ってしまうようなこともあったのですが、現実は切実です。
こんな話で笑えるのも気心知れた仲だから。
また、それをわかって彼も私たちに話しているのですが。
午後1時にウチに来て、夕方5時過ぎまで。
それでもまだ話したりないくらい、次から次へと難題が出てきます。
話を聞いていて、お母さんも彼も大変。。。
以前は徐々に記憶がなくなっていくことをお母さん自身が自分で口に出したりしていたと。
「だんだんとわからなくなっていくの」
って。
それでも、日々生活していると大変さが先にきて「思いやり」「優しい言葉」なんて2の次、3の次になるのでしょうね。
そんな様子も色々と話してくれました。
その時、少しでも彼の気持ちが安らげば。
という気持ちから、家にあった精油を1本渡しました。
「アロマテラピー」なんてこれっぽっちも知りません。
精油がどんなものなのかも知りません。
瓶の蓋をあけ、
「どう?この香り?」
そう尋ねると
「イヤではない。なんか森林浴してるみたいかな」
「イヤではないなら、この精油を自分の部屋でもお母さんの部屋でも良いから香らせてみて」
と言って、使い古しのアロマストーンと一緒に渡しました。
そして、その日から5日ほど経ったとき、私のスマホに着信が。
「あのさ、あれすごいわ。ホントすごいわ」
と。
最初は何のことを言っているのがさっぱりわからない私でしたが、よくよく聞くとあの日渡した精油のことでした。
「もらった日は忘れてたけど、そういえば!と思って次の日くらいから使いだしたんだよ。不思議とお袋に優しく接している自分がいるんだ」
「イライラはするんだけど、いつの間にか落ち着いている、という感じかな」
と。
「あれから何も変わったこともなく、大変さは同じなんだけど、なんでだろう?って考えたら、もらったあの香りしか思いつかないんだよ。多分、このままだと1本早く使ってしまうかも知れないから、なくなったらまたよろしく!」
そんな話を聞いて嬉しいというより、少しホッとしたのが正直なところでした。
(日々のことを面白おかしく話をしてくれましたが、実際は本当に大変なのだと感じていたので)
電話を通して、少しアロマテラピーについて話をすると、
「お袋の部屋にも香らせてみようかな」
と。
天然の精油の香りはダイレクトに脳に伝わります。
日々の介護で疲れた身体に、心地よいと感じる香りが反応したのでしょうね。
また、アロマテラピーは薬ではないので、お母さんの認知症が治る、ということは期待できません。
しかし、認知症の進行を遅らせることは可能だと思っています。
介護をされる側だけではなく、介護をする側にかかるストレスも当事者しかわからないことです。
でも、ストレスは知らず知らずのうちに、思考を鈍くさせ、思わぬ行動へと招くことがあります。
日々の疲れをアロマテラピーで癒す。
とっても大切なことだと思いますが、毎日の大変さのほうがもっと大切で意外と手が伸びないことかも知れません。
もし、皆さんの周りで、同じような境遇の方がいらっしゃったら、簡単な芳香浴法で構わないので、それが出来る環境へとアドバイスしてあげてください。
誰にでも起こりうる「介護」という現場。
いざという時だけでなく、日頃からもっと多くの人が当たり前のようにアロマテラピーと関われる環境にしていくことが必要だな、と感じています。